【前回の記事を読む】「私達が絵本から抜け出せたのも彼女の想像力があってこそよ」

えがおのリレーだいさくせん

そんなことが絵本の中でまきおこっていようとはつゆ知らず、みきは、いつものように、()(ほん)(だな)に目を向けました。

「だいきらいだっていってるのに。さみしいな。つまんないな」

みきのくちぐせです。そんなとき、そばにあったのが絵本でした。

「きょうは何読もうかな。『えがおのリレーだいさくせん』にしようかな。それとも、『ポンタのうた』にしようかな。あっ、これ、おかあさんのだいすきな絵本だ。ああ、やだやだ。またおかあさん思い出しちゃった。おるすばんなんてだいっきらい!」

みきは、部屋のすみにある()(ほん)(だな)から、『えがおのリレーだいさくせん』を抜きとると、その場にすわりこみ、読みはじめました。

みきは、これからたくさんの絵本を読むことになるのですが、あの絵本からとびだしてきたハリネズミたちのことを思い出すのは、もっともっと先のことになりそうです。

みきが、それまでどんな物語を読んでいたのか、わたしたちもいっしょに読んでみましょう。えがおのリレーだいさくせんけらけら森に住んでいるどうぶつたちが、なにやらおこっています。いったい何があったのでしょう。

じつは、こんなことからはじまったのです。ゾウが、公園のベンチにりんごをおいていたのですが、そのりんごがなくなっていたのです。ダチョウがもっていったことを知ったゾウは、ぷんぷん顔。ぷんぷん虫をひっつけて、ダチョウに会いにいきました。

「おい、ダチョウ! ぼくの大事なりんごをとっただろ。かえしてくれ」と、目をさんかくにしてゾウがいいました。ダチョウは、びっくりしていいました。

「あら、おちていたのをひろっただけよ。そんなにおこらなくてもいいじゃないの」

「あれは、おとしたんじゃない。おいておいたんだ。ベンチにあっただろ?まったく、大事なお客さまに出す大切なりんごだったのに」

お客さまに何も出せなかったゾウは、ダチョウをどうしてもゆるせません。ふたりはけんかをしたまま、家にかえってしまいました。