【前回の記事を読む】妻「子の受験終わるまで秘密に」10ヵ月間彼女の家に通う夫

十一、運命の出会い

営業の会社に勤めて二年が経ったころ、会社でのお昼休み、部下の女性が、読んでいた本にはさまっているハガキを手に取り、「こんなの必要ないですよねえ」と、婚活の会社のハガキを、私に見せた。

「必要な人も、いるよ」と私がそのハガキを受け取り、何げなく記入し、ポストに入れて帰宅した。後日、『オーネット』という婚活の会社から電話があり、「お休みの日に、こちらへいらしてみませんか」と言われ、素直な私は行ってみた。

担当のAさんと、少しお話をしたあと、自分の希望する男性の性格や、自分の考え方や趣味、相手の方に希望する収入面まで、こと細かにアンケートに記入し、写真もきれいに撮ってくれた。いつも子供たちのためだけを考えて仕事をし、買い物をし、家事をし、休みの日にも自宅から電話をかけ、夜は缶ビールを飲みながら営業関連の本を読むことだけが楽しみだった私の人生が、緩やかに進路変更し始めた。

翌週からは、一週間に四人から五人の男性のプロフィールが送られてくるようになった。仙台市内で仕事をしている私は休日にしかお会いできないので、仙台市内に住む方を希望していたのだが、盛岡市や栗原郡など遠くの方が多く、他の条件を満たしている方は多かったものの、誰ともお目にかかることはできないでいた。

とある日、担当のAさんからお電話があり、「その後、いかがですか。こちらへいらして少しお話してみませんか」と言っていただいた。休日に出向いてみた。「良い方ばかりなのですが、遠くにお住まいの方が多くて―」と言うと、Aさんが、「実は、私の担当している方で、あなたにピッタリだと思う方がいらっしゃるのですが、会ってみませんか」と言ってくださった。