法事の料理は品数が豊富で美味しかった。カレーライスだけでも何種類もあり、どれも美味しかった。スリランカ人は右手で上手に食べる。また、ご馳走を食べる順番が厳密に決まっている。

最初は僧侶(三人)だけが食べる。家族やゲストが各種料理を僧侶に勧めながら給仕をする。僧侶が食べ終わってから、ゲストが食べる。家族はゲストに給仕する。最後の最後に家族が食事をとる。この日に集まったのは三〇人ちょっとだったが、ほとんどはスリランカ人で日本人はわれわれ二人を含む四人だけである。

食事が終わってからもう一つの儀式があった。僧侶がお経を唱えながら「ピリット・ヌーラ」という白い糸を参加者全員の右腕に巻いて、数珠つなぎにしていくのである。最後に一人ずつ右腕に糸を結んでくれる。その結ばれた糸は何日かそのままにしておく。これは各人の幸福を願う儀式である。

ご馳走はどれも美味しかったので思わず食が進む。アイスクリームとフルーツのデザートもついていた。そのような美味しいものを食べているせいかその日、蘭華寺に集まったスリランカの人々はふくよかな人が非常に多かった。

使用した皿などの食器類を洗って元の戸棚に収納して食事会は終わる。あれだけご馳走になったうえに、帰りには残ったお料理をお土産として皆にたっぷりと持たせてくれた。それほどたくさんの料理を作って、寺院まで運んでくるのは大変なことだったろう。NHさんとHHさんに感謝である。

※本記事は、2021年11月刊行の書籍『雑草のイマジネーション』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。