松野はスクリーンに映っている面々を見ながら言った。

「今日ご参加していただいた方々のお顔を拝見しながらどんな風にこの追悼会を進めていこうかと考えているところです。亡くなられた斉田さんはご自分のことを『お祭り男』と茶化して言っておられましたし、湿っぽいのは真っ平御免だと天国から言っておられることでしょう。思い出話をしながらめいめいが思い思いにグラスを傾けるか、或いは途中で一杯やる時間をもうけて気楽にやっていきたいと考えていますがいかがですか」

参加の面々がうなずいているところを見ると異議なしと受け止めていいようだ。

「今日ご参加いただいた方々が斉田寛さんとどんな形で関わっておられたかによってグループ分けすると初対面の方でも分かりやすく、すっと入っていただけるのではないでしょうか。お見受けすると(一)斉田氏のご家族:斎藤潔(故人の実兄、以下敬称略)、斎藤晃(故人の長男)(二)若い頃の学友:鈴木博和、加藤仁、後藤沙織(三)生前交流の深かった友人:守屋政蔵、篠崎譲(四)仕事上の関係:佐伯祐介、岡林恵各氏。大体こんな分け方でご出席の各位に当てはまるかと思います」

中の一人が言った。「松野さん、あなたを外すと九人しかいませんが?」

松野はあわてずに言った。「失礼しました。最後の十人目は今別のオンライン会議に出ている途中で、終わり次第切り替えてこちらに参加するそうです」

一同がうなずいて了承するのを見てから松野は始めた。

※本記事は、2022年1月刊行の書籍『私の名前を水に書いて』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。