「館に戻るぞ!」

赤龍が口調を強めて言い、

「兄上様、今まで何が在ったか分からぬが、羅技姫を返してもらうぞ」

龍王が厳かに告げた。すると、羅技は鳳炎昴龍の手を取るととんでもないことを口にした。

「我は帰らない!」

「今、何と言ったのじゃ? 帰らないだと? そなたは余の元へ帰ると申したのだぞ?」

「我は鳳炎昴龍様の妃になる!」

羅技の言葉に鳳炎昴龍や他の者も驚いた。

「よ、余は絶対に許さぬぞ」

赤龍は険しい表情を浮かべ、鳳炎昴龍に詰め寄った。

「よ、余は知らぬ。余には愛している女子が居るのじゃ」

すると、羅技は突然大笑いをし、朱色に塗られた大柱の裏に隠れている千世に肩を貸し、皆の前に披露した。

「じゃじゃ~ん!」

「ち、千世! 龍珠より出て来てくれたのか!」

鳳炎昴龍は抱きしめると、あまりの嬉しさに千世に口付けをした。

「鳳炎昴龍様恥ずかしいです」

「うふふ! 赤龍よ! 我が言ったのは冗談じゃ!」

赤龍は思わず右の手を振り上げて羅技の頬を叩こうとすると、羅技の顔色が青く、何やら変な違和感を覚えて思わずその手を止めた。羅技は歯を食いしばり、赤龍に顔を向けた。千世は慌てて羅技の身体を抱きかかえると、涙を流しながら赤龍に詫びた。

「赤龍様。全てはこの私が悪いのです。羅技姫様を咎めないで下さいませ。羅技姫様、お身体は大丈夫ですか?」

すると、羅技は急にふらついて千世に寄り掛かる様にその場にへたり込んだ。

「羅技? 如何したのじゃ?」

「心配には及ばぬ。最近何やら身体がだるくて。でも、直ぐに治る。鳳炎昴龍様、この前頂いた飲み物を下さいませ!」

「あれか! あれは千世の大好物である葛湯じゃ!」

鳳炎昴龍は天女に葛湯を持って来させると、羅技は嬉しそうにすすった。

「紗久弥も飲んでみるか?」

羅技は紗久弥に葛湯を飲ませた。

「わあ! 甘くてとても美味しい!」

「これを飲むと身体が温まり、気持ちが良くなって身体がとても楽になる!」

すると、鳳炎昴龍が口を開いた。

「千世や、皆の前で龍体の姿を見せて良いか?」

「はい。鳳炎昴龍様。今までのいきさつを全て皆様にお話し致しましょう」