「争族」? も増えている

一方、死亡者数が増えていることから相続手続きも当然ながら増えています。その手続きでもめているという話を聞いたことが一度はあると思います。

[図表3]家庭裁判所に申し立てられた遺産分割(相続した財産の分け方)に関する調停や審判の件数

「自分の兄弟は昔から仲がいいから相続トラブルなど無縁だ」「うちはそんなに財産が無いからもめようが無い」「相続問題なんて一部の人限定でしょ」多くの方々がそのように思っているのではないでしょうか。

しかし、はっきり申しあげてそのような考え方は危険です。相続トラブルや相続問題は身近なものです。実際、裁判所の統計によると、家庭裁判所に申し立てられた遺産分割(相続した財産の分け方)に関する調停や審判の件数は、平成一〇(一九九八)年は年間で一万三〇二件だったものが、平成三〇(二〇一八)年には年間で一万五七〇六件と、この二〇年で一・五倍に増加しています(図表三)。

[図表4]家庭裁判所に申し立てられた遺産分割に関する調停や審判の「相続財産の額」

また、同じく裁判所の統計によると、家庭裁判所に申し立てられた遺産分割に関する調停や審判の「相続財産の額」は、総額一〇〇〇万円以下が約三三%、総額五〇〇〇万円以下が四二%と、相続財産の総額が五〇〇〇万円以下の割合が全体の約七五%を占めており、相続問題は決して一部の人の問題ではないことがわかります(図表四)。

のちほど詳細を述べますが平成二九(二〇一七)年からの相続税の増税もあり日本における相続を取り巻く環境は年々厳しくなっているといえるでしょう。

※本記事は、2021年12月刊行の書籍『相続不動産のことがよくわかる本』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。