集団遊びと体力作りのN合宿

NHKの親子合宿に参加出来たのは、3年間だけでした。私に限らず自閉症児を持つ親は、皆、子どもの成長と共に、学校の進学問題や形を変え止むことのない「こだわり」など、次から次へと不安や悩みがあり継続的に相談出来る場所を探していました。私も、息子の小学校進学を控え、特殊学級(特別支援学級)に通級させたら良いのか不安や悩みだらけでした。

そんな折、NHKの親子合宿OGの親達から、自主的に合宿をしませんかと声がかかりました。参加希望者は多く、合宿を行う事がすぐ決まりました。NHKの合宿で自閉症担当であった東京学芸大学教授のN先生も協力をしてくれる事になり、名称は、N先生の名前をお借りし「N合宿」、夏に2泊3日行う事を決めました。

合宿のスタート時は、幼稚園から小学生の多動の自閉症の子ども全員が、手を離したら、どこに走って行ってしまうかわからない子の集まりでした。幼い兄弟姉妹を連れての合宿は、当然ボランティアを必要とし、自閉症児一人に対し一人のボランティアは、NHKの合宿時お世話になった学生さん達に声をかけお願いすることにしました。

2泊3日の合宿の宿泊費用は、ボランティアさん達や先生の分も、親達が負担しなければなりません。まだ、若い親達には金銭的余裕などありません。県外から参加する人のことも考え、東京から近い所で、安く宿泊出来、又、他の人に迷惑をかける可能性があるので、宿は「貸切」が条件です。

そして、奥多摩にある宿を見つけました。宿泊費を抑えるため、昼は、カレーで良いです。翌日はハイキングに行くので、おにぎりを作って下さい。そんなわがままな条件を、その宿のご主人は了承して下さいました。

障がいの子どもと、そのきょうだいを引き連れ、足りない食料を補うため、各親は、缶詰など食料を持参、そしてNHKの合宿と同じように、子ども達を楽しませるイベントを行えるよう「スイカ割り」用のスイカ、「キャンプファイヤー」用の花火等、山のような手荷物を持って合宿はスタートしました。合宿当番になると荷物係としてお父さんにも参加してもらいました。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『言語能力2歳の自閉症 正社員となる』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。