☆冒険の目的は何でもよい?

子どもたちは今、学問(楽門)という冒険の入り口に立っています。学ぶ楽しさの虜になる冒険がまさに始まろうとしています。

私たち大人も遥か昔は子どもだった頃がありまして、学ぶことを楽しいと思えず学びの生け贄として冒険を終えた日々を懐かしく思います。なぜ子どものときに学ぶ楽しさに気がつかなかったのか不思議なのですが、それはきっと冒険する目的に価値を見出そうとしてしまったからではないかなと反省しています。

やはり、冒険で重要なことは「何を目的として冒険するか」ではなく「誰を仲間にして冒険するか」だと思います。

冒険の目的は、鬼退治でもお姫様の救出でも何でもよいのですが、誰を仲間にして冒険するかはとても重要です。

一般的な感覚として鬼退治する仲間を選ぶなら、ゴリゴリのブラジリアン柔術の使い手とか、サックスを演奏するマッチョとかがオススメですよね。霊長類最強とまでは言わないですが、それなりの強さはほしいなと思ってしまいます。

でも実際は犬と猿とキジですよね。せめてドーベルマンとマウンテンゴリラと大鷹であれば頼もしいのですが、そうではないので正直「弱っ!」と思ってしまいます。しかし、このメンバーだからこそ描くことのできるストーリーがあるわけです。バッキバキの軍隊チックな集団が、手榴弾バカスカ放って鬼退治しても「めでたし、めでたし」とはならないのです。

お姫様の救出についても同様のことが言えます。私もヒゲを生やしたい年頃なのですが、ヒゲを生やした青年が、何でも口に突っ込むカラフルなドラゴンを仲間にして冒険するストーリーを思い浮かべてください。まさにヒゲドラゴンリズムな冒険です。

このドラゴンも可愛げはありますが、ちょっと炎に当たったくらいで逃げ出してしまうなんて頼りないと思いませんか?

ところがどっこい、このドラゴンと一緒に冒険するからこそ見ることのできる景色があるのです。口に突っ込むものによっては空も飛べるわけですから、類い希なる才能の持ち主です。まあ、飲み込んでしまうと落下してしまうので「あとちょっと頑張れよ」と思うシーンは何度もありましたが、そこがまたこのドラゴンの愛らしいところです。

以上のことを総括すると、お姫様を救出するという目的よりも、冒険のプロセスを楽しむことを優先した人選(龍選)もありだという結論に至ります。まさにヒゲドラゴンナイトな冒険です。

※本記事は、2022年2月刊行の書籍『キャベツになれ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。