あたたかい春に なりました。
みずうみに、たくさんの まっ白な鳥たちが、おりてきました。
大きなアヒルの子は、その美しいすがたに、
「なんて まっ白! なんて きれいなんだ!」
と、見とれてしまいました。
すると、まっ白な鳥たちは、大きなアヒルの子を見て 言いました。
「あなたが いちばんきれい! あなたが いちばんまっ白よ!」
きらきらかがやく水面に、美しい自分がうつっています。
「これは、ぼく?」
大きなつばさを広げると、ふわっと 空へ とび上がりました。大きなアヒルの子は、白鳥だったのです。
おばさんアヒルが、言いました。
「いままで、いろいろ言って ごめんなさい。
あなたも、アヒルのきょうだいたちも、みんな、ほんとに すてきだわ」
アヒルの子も、白鳥の子も、おたがい ほこらしく思いました。
それから、アヒルも白鳥も、みんな なかよく くらしましたとさ。
※本記事は、2021年12月刊行の書籍『となりの童話』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。