省吾は呆気にとられたが、段々いくつかの事件がつながってきた。

「他にも逃げたやつがまた結局、大木が作ったパーフェクトの社員にされて、犯人としての証拠の音声データや指紋も取られたんだ。それから、パーフェクトを嫌がったやつは殺してほしいやつの名前を言って、パーフェクトのやつに殺してもらってたんだ」

「お前は指紋取られた口か?」

「俺は指紋だけは嫌がったんだ。声は知らない間に録音されてて、それをどうにでも編集出来るだろうな」

「手紙は書かされなかったか?」

「会社に入る時、履歴書だすよな。そこに住所も名前も電話番号も緊急連絡先も書いてあるし、免許証のコピーもだしたんだ。そこに写真もあるよな。手紙でも何でも作れるだろうな」

「そうか。それで、大木はどうやって殺したんだ?」

「俺と、あと三人は俺の会社の事務員二人と森田俊、もう捕まってるよな。その四人で分散してやったからさ、睡眠薬飲ませて、車に乗っけて、船に乗せかえて、見張り役に見てもらってさ、その後、みんなで海に落としたんだ」

「四人で?」

「そうだ。誰が触ってないとかなしで、皆で一斉に投げ込んだんだ」

集団での犯罪は、一人一人の罪悪感が人数で割られるという感覚なのだろうか?

「じゃあ、睡眠薬はどうやって飲ませたんだ」

「大木はいつもインスタントコーヒーを飲むんだ。そのコーヒーの上の方にたっぷり粉末の睡眠薬を入れたから、自分でコーヒーを入れて飲んだんだ。睡眠薬を入れたのは事務員、ほら、田中の家を教えた事務員の高木だよ。だけど、俺が指示したから俺の方が悪い。それに、渡辺さんと松岡さんが殺される前にやったんだ! 大木が死んだとわかっていたら、二人は殺されなくてすんだはずだ!!」

「……そうか」

一旦休憩を入れた。省吾はやるせない感情を(いだ)きながらタバコを吸った。そんな時、省吾は幸子のことを考えた。幸子ならこんな時どうするか、どんな言葉で人をなだめていくのかを考えた。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『携帯エアリー』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。