「子ども」の心をつかむ話ができるか

教育者は「子ども」の前でその心理に迫る話ができるかどうかでその教育力が大きく変わってきます。逆の言い方をすると、自己満足な話に終始し、教育に行き詰まっている教育者をときどき見かけるのです。「子ども」の心理に迫れないということは、「子ども」を理解できていないか、あるいは、その「子ども」の捉え方が独りよがりになっている可能性が高いということです。

自分ではつかんでいるつもりでも、それが本当に子どもの心理なのか、それが本当に子どもの訴えようとしていることなのか、常に見極めようとする意識が大切です。そして、それ以上に大切なのは、その見極めた答えが本当に的を射た答えなのかどうかを冷静に判断しなければならないことです。

この見極め方が正解か不正解かは、まず「子ども」の反応を見ることが大切になります。ただ、当然のことながらその見極め方がいつも正解になるとは限らないのです。むしろ不正解や正解モドキのほうが多いかもしれません。しかし、その教育者の意識と経験で正解の確率を増やしていけばいいのです。そうしている間に大ハズレがなくなってくると、「子ども」との関わりがまたワンランク上昇することになります。

今後、数多くの教育者が「子ども」の心理を確実につかみ、自らの教育者としてのランクを上昇させることができれば、より充実した「子ども」の育成につながっていくと考えています。

「話術」は教育者にとって必須条件だが、その言葉は自らの心根から発せられる

※本記事は、2021年6月刊行の書籍『「子ども」が「人」に育つには』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。