教育セミナーで、「障がい児と健常児の違い」を学び、健常児のお母さん方に、障がい児への理解を得たことにより、子どもが教室を離れ外に出てしまうような場面でも、お母さん方からはクレームなど一切ありませんでした。

私は、園の気配りによって、卑屈な気持ちにならず、就園後には、平等に、健常児のお母さん方と交流しました。お互いの家に行き来して、子ども達を遊ばせながら、ケーキ作りや料理を楽しんだり、子育て談義をしたり、自分も楽しい一時を過ごす事が出来ました。自分からも積極的に家庭に招いたりして、料理を披露したりお母さん方と交流を楽しみました。我が子は無関心でも絶えず子ども達の中にいさせる環境をつくる努力をしました。

休みの日にも幼稚園のお友達親子と一緒に自転車に乗って遠くの公園まで出かけたりしました。そんな交流を続けながら、健常児の子どもの様子を観察し、発達の仕方を学ぶことが出来ました。

健常児のお母さん方とお話しする事で、健常児のお母さん方にも悩みが色々あり、「健常な子にも我が子と似たような問題点を持っている子どももおり、我が子の場合は、それが顕著に表われているだけ」という事がわかりました。

この幼稚園に入った事により、私の子どもを観る目も、大きく変わりました。

健常の子どもと比較し競う事なく、子どもとお母さんの関わり方、子どもの行動・反応を観察して、「子どもってこのように発達するのか」と、我が子の発達の参考に、また、我が子の欠けている部分がより明確になり、この部分の力をつけなければと勉強しました。

デイケア時代、私の子どもに対する見方は、子どもの出来ない事ばかりに目が行き、イライラしたりして、障がい児を持つ事で地獄に落ちていくような気分でしたが、親も一緒に楽しんだり、また、前述の園長先生の「知的障がいを持っていてもその発達段階は、健常児と同じで、早いか遅いかの違いだけである」という話を聞き、気分がすごく明るくなっていきました。

この幼稚園時代、幼稚園から大切な姿勢を学びました。障がい児を育てる上で大切なのは、子どもだけに没頭するのではなく、親も自分の時間を持ち、親も精神的に安定することによって、「ゆとり」を持って子どもに接する事が出来、「待つ」という事が出来る。客観的に子どもを見て、育てていく事を教えられました。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『言語能力2歳の自閉症 正社員となる』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。