すると、ねむっている うさぎさんを ()つけました。

「うさぎさん、うさぎさん、そんなところで ねむっていると、ぼくに まけてしまうよ」

 

「しまった!  ねむっちゃった!  かめさん、おこしてくれて ありがとう」

うさぎさんは とびおきると、また(はし)()しました。

「かめさんに、まけてたまるか」

「ぼくも、うさぎさんに まけないよ」

あと もう(すこ)しで てっぺんです。

「フレー、フレー、うさぎさん!」

「フレー、フレー、かめさん!」

「やったあ、ぼく、かったよ」

てっぺんに (さき)についたのは、うさぎさんでした。

「まけちゃったけど、ぼくも がんばったよ」

おくれて やって()た かめさんも、むねをはって ニコニコしています。

「かめさん、いっしょに (はし)ってくれて ありがとう。

きみが おこしてくれなかったら、ぼくのまけだったね」

うさぎさんは、うれしい()もちで いっぱいでした。

「うさぎさんは、やっぱりはやいなー。また、きょうそうしようね」

二人(ふたり)は、なかよく あくしゅをして、にっこり わらいました。

(もり)のみんなは、いっぱい はくしゅをしてくれました。

つぎの()、かめさんが()いました。

「すいえいなら まけないよ。うさぎさん、きょうそうしよう」

うさぎさんが()いました。

「ぼくだって、まけないよ」

(もり)のみんなが あつまって、二人(ふたり)を おうえんします。

「いちについて、ようい、どん!」

(いけ)のむこうぎしまで きょうそうです。

かめさんは、すいすい およぎます。

うさぎさんは、前足(まえあし) バシャバシャ、(うし)(あし) ピョンピョン、

けれど (みず)(なか)では、なかなか (まえ)(すす)みません。

「フレー、フレー、かめさん!」

「フレー、フレー、うさぎさん!」

かめさんは、あっというまに むこうぎしにつきました。

「うさぎさん、がんばれー」

かめさんも、(もり)のみんなと いっしょに おうえんします。

うさぎさんも、みごとに およぎきりました。

「うさぎさん、いっしょに およいでくれて ありがとう」

かめさんは、うれしい()もちで いっぱいでした。

「かめさんは やっぱり はやいなー。また きょうそうしようね」

ふたりは、なかよく あくしゅをして、にっこりわらいました。

(もり)のみんなは、いっぱい はくしゅをしてくれました。

それから、(もり)のどうぶつたちは、みんな なかよく、

いろんな きょうそうを するように なりましたとさ。

 
※本記事は、2021年12月刊行の書籍『となりの童話』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。