□健康に関わる医師、看護師のあり方について

人々の健康に関わる医師、看護師のあり方については、それぞれの倫理綱領において示された前文から考えてみよう。倫理綱領とは、職種ごとにその指針が示され、専門職ならではの基本方針や内容について、その専門職者間で自ら守るべき倫理的行為としてあるいは対外的な宣言として周知されるものである。

医の倫理綱領(日本医師会、2000年)

医学および医療は、病める人の治療はもとより、人びとの健康の維持もしくは増進を図るもので、医師は責任の重大性を認識し、人類愛を基にすべての人に奉仕するものである。

看護職の倫理綱領前文​(日本看護協会、2003年、2021年改訂)

看護は、あらゆる年代の個人、家族、集団、地域社会を対象としている。さらに、健康の保持増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和を行い、生涯を通して最期まで、その人らしく人生を全うできるようその人のもつ力に働きかけながら支援することを目的としている。

□健康であるための日常生活

健康を維持することあるいは健康増進に取り組むことは個人が課題とすることではあるが、健康に破綻をきたした場合には医療者の知識・技術の援助を必要とする。援助の必要性は健康の段階により異なる。

援助によって健康を取り戻す場合もあれば、援助し続けることで健康の回復を阻害する場合もある。健康が自立と関連することから日常生活の維持にも影響し、健康状態に応じた援助においては日常生活を変えていくことも必要である。

健康は生活を維持していくうえで必要であるが、日々の生活が健康を左右する。

※本記事は、2021年12月刊行の書籍『ヒューマンケア入門』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。