【前回の記事を読む】社長室にネズミが出現!試行錯誤の末に捕獲…その方法とは?

複数匹捕獲具の開発

自動ドアの仕掛け

次に作った仕掛けは、2枚のアルミ板が入り口の上下にあって、細い針金でつながっているものだった。常に入り口を塞ぐように下がっている上のアルミ板が、下のアルミ板をネズミが踏むことによって進行方向上方にふわりと開く構造になっている。ネズミの体重で入口が自動的に開くのだから自動ドアのようなものだ。

ネズミが中に入ってしまうと上のアルミ板は下りてきて、元のように入り口を塞ぐ。出ようとして下りてきた上のアルミ板をネズミが踏むと、仕掛けがロックする。出ようとしたネズミが仕掛けをロックするのだから、それまでに入っていたネズミはすべて捕獲することができる。もちろん、上のアルミ板を固定することで餌付けをすることも可能だ。

この仕掛けは日本国内で特許を取得した2つ目の仕掛けである。足元の変化を少しでも感じさせないように手を加えて用いると、初めに仕掛けを用いた場所で、すぐに子ネズミ2匹を捕獲することができた。動画にして動画サイトで流すと結構反響が大きかった。

しかし、手を加えないシンプルな物を用いて他の現場で使用してみても、なかなか捕獲できない。時間をかけて子ネズミを2匹捕獲した例がもう1例あるが、すぐに成果が出ないのでは満足いく結果とはいえない。仕掛けとしてのアイデアは面白いのだが、すぐに捕獲できる場合とできない場合の違いが分からない。

大がかりな仕掛けを使った捕獲例

その後、複数匹捕獲の仕掛けを何種類も作ってみた。そのうち、すぐに餌付けができて、とても大きい個体が真っ先に捕獲された例が2例ある。2例に共通しているのは、周囲にとても多くの個体がいるであろうと期待して設置した現場で、そのどちらもが、続けて他の個体が入ることはなかった。

複数匹捕獲の仕掛けとしては失敗例なのだが、でかい個体がまず捕獲されたことの不思議さもあって、何故だろうと考え出すと、なかなか頭から離れない観察例である。その2例を紹介する。