1998年11月14・15日(土・日)リスボン紀行

-南国の太陽を浴びて久し振りに暖かい週末-

リスボン週末旅行は南国の太陽を浴びて久し振りに暖かい週末を過ごしました。春から夏にかけての抜けるような青空ではありませんでしたが、穏やかな日差しで長袖シャツ一枚で歩けました。北ヨーロッパは雪の降る冬は別な魅力があるとしても秋の氷雨はつらくこの季節は南欧に限るようです。コスタ・ド・ソル(太陽海岸)は欧州有数の高級リゾート地だそうで、ポルトガルは物価が安いこともあり北ヨーロッパとの温度差を考えただけでも人気が高くなるのは当然と思います。

 

リスボンはローマと同じく七つの丘の上に立つ町で、南にイベリア半島を横断するテージョ川の入り江に面し市内至るところから海を望める美しい町です。スペインの首都マドリッドは内陸の平坦な町でしたが、明るい太陽と変化に富んだリスボンの街並みはむしろバルセロナを思い出させます。

土曜日は観光バス・ツアーに参加し午前中市内の主要観光ポイントを回り、午後はロカ岬まで行き途中のリゾート地シントラとコスタ・ド・ソル(太陽海岸)を通過しました。ロカ岬はヨーロッパ大陸最西端の140メートルの絶壁で、大航海時代のポルトガルの栄光を詠った国民詩人ルイス・デ・カモンイスの「ここに地終わり海始まる」※注1に形容される通りの場所です。シントラにある王宮はポルトガル王家の夏の離宮ですが欧州の他の宮殿のような豪華さはなく、イスラムの影響を感じさせる飾り窓と質素な装飾が印象的でした。

土曜日の夜のエンターテインメントはファドと民族音楽のレストランに行きました。ファドは日本の演歌を思わせる哀調を帯びた旋律の歌でお隣の国スペインのフラメンコともまたイタリアのカンツォーネとも全く印象が違います(今週末はイタリアのナポリに行く予定にしていますのでカンツォーネを聞いてきます-乞うご期待)。ただ、アルゼンチン、ブラジルの陽気なラテン音楽とは違うのは同じラテン系の似たような言葉を話す国として面白いところです。

 
 

※注1ウズ・ルジアダス(Os Lusiadas)はポルトガル最大の詩人と言われるルイス・デ・カモンイスによる叙事詩です。大航海時代におけるポルトガルの海外進出と栄光をホメーロスを模した雄大な作風で描き、ユーラシア大陸最西端のロカ岬の碑文に刻まれた「ここに地終わり海始まる(Onde a terra acaba eo mar começa)」という言葉は、この作品の第3詩20節から取られています。

※本記事は、2021年8月刊行の書籍『ヨーロッパ歴史訪問記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。