冷静に叱れ

「叱る」という行為は一般的には「感情」の一つの表現ですが、「子どもの教育者」はこれを一つの教育のツールとして使えるようにしないといけないと思っています。しかも大切なのは、「冷静に叱る」ということです。

確かにこれは相反する言葉ですが、この両方をできることが必要です。昔から「子どもの教育者」は「子ども」の前で「演技ができなければいけない」ということが言われています。嘘偽り、まやかしは御法度かもしれませんが、「子ども」の気持ちを正常な状態にコントロールするには大切な教育方法です。

とはいえ、これは最初からなかなかうまくはいきません。こちらも一度叱り始めると当然のごとく感情的になりますし、冷静なんかでいられるもんかと半ば諦めかけますが、私の経験上「感情的に叱る」ことで満足いく結果が出たことはまずありません。

私も若い頃は思うがままに声を荒げ、叱り飛ばしていた時期がありました。その頃は「愛のムチ」も、ときには必要だというとらえ方で保護者から感謝されることさえありました。しかし、今は違います。

かといって、いつも穏やかな口調だけで効果的な教育ができるとも思いません。そこで、大切になってくるのが「冷静に叱る」です。イメージがわきにくいかもしれませんが、口調は叱りながらも一つ一つの言葉を吟味しながら、相手の表情の変化も感じつつ、絶えず少しのゆとりを持ちながら事を進めていくのです。

慣れてくると少しずつポイントがつかめるようになってきます。大切なことは、叱りたいときに一呼吸おくことです。それで少し現状を冷静に見ると、ちょっと落ち着いて叱ることができるのです。後は「ここに気づいてほしい」という教育者の思いがしっかりと伝わるよう努力することです。ぜひ、このツールを身につけて子どもが納得のいく叱り方で育ててください。

教育者も叱る演技ができるようになれば一人前

※本記事は、2021年6月刊行の書籍『「子ども」が「人」に育つには』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。