【前回の記事を読む】手がかりを知っている3人の子ども…取調べで判明した真実とは

携帯エアリー

高橋裕太の事情聴取は他の刑事が担当になった。

「オレオレ詐欺の受け子をやってたんだな」

「あ、でも、お金は返しました」

「それで、どの家に入ったんだい?」

「あの、それは言えません」

「じゃあ、パーフェクトでは何をやってたんだ?」

「ペン習字を習っただけで、特に何もしてません」

「何もしてない? 君の声や指紋が残ってるんだ! 言い逃れは出来ないぞ!」

「声は言わされただけです。指紋は手形を押しただけです」

「誰に?」

「男の人です」

「何歳くらいの人だ?」

「四十位だと思います」

「この男か?」

大木の写真を見せた。

「うーん、よくわかりません。あまり覚えてないので」

「ふざけるなよ!」

その後、もう一度省吾が高橋の事情聴取をした。省吾はエアリーを持って、もう一度同じような質問をした。

「オレオレ詐欺の受け子をやってたようだけど」

「うるせーな、何度も言わせんなよ」

「どの家に入ったの?」

「だから、さっきの刑事に言っただろ?」

《作曲家の音羽伸晃の自宅だよ! もういいだろ?》

「パーフェクトで何をやってたの?」

「だから、さっきの刑事に聞けばわかるよ」

《ペン習字と手形と録音だって言ってんだろ》

「ペン習字は手紙のようなものを書かされなかったの?」

「普通にペン習字で書いただけだよ! うるせーな」

《手紙に書いた内容が「殺す」とか金の要求とか言えねーよ》

「そうか。「殺す」とは誰かを脅す文章を書いたんだね」

「はっ?」